ASK THE Date・・

若狹祐介・蓮尾寧子

「10サンジ」主宰/陶芸家
レッスン風景

INTRODUCTION

デイトでは、インストラクターの感性を大切にしています。それは、暮らしや家族、地域への想い、仕事へ向かう姿勢などがその人のベースになり、作品にも反映すると考えるから。そして、ワークショップという場を共有することで、インストラクターも学ぶ人も「新鮮な何か」が生まれ、「豊かな一日」になるきっかけをたくさん見つけてほしいと願うからです。
若狹祐介さんと蓮尾寧子さんは、夫婦ともに陶芸家。二人の子どもを育てながら、自宅の敷地内にある工房で作業をしています。陶芸のおもしろさ、江田島での暮らしが創作にどのような影響を与えているかなどをうかがいました。

毎日使う器を自分の手でつくる。
毎日使う器を自分の手でつくる。
使い込むほどに自分のものになります。
海に囲まれた江田島での創作。
海に囲まれた江田島での創作。
海に囲まれた江田島での創作。

海に囲まれた江田島での創作。

まずは、お二人の代表的な作品を持ってきていただきました。若狹さんから作品の特徴を教えてください。

若狹:丸い花器は、伝統的な天目茶碗(茶の湯茶碗の一種)の技法を用いています。鉄の釉薬がかかった茶碗を「天目」といい、窯の中にガスを入れて釉薬をかけながら鉄の色を変化させています。イメージはギャラクシー。光沢を出し、銀河を表現しています。
マグカップは、黒の釉薬の上にプラチナ彩を塗ってグレー色に仕上げました。少しくすんだ色と手になじむマットな質感が特徴です。
酒杯の内側の銀はプラチナ彩、外側は漆を焼きつけています。漆は侍の兜や鎧にも使われていて、焼きつけることで強度が増し、錆びにくくなるんですよ。内側はなめらかな鏡面に対し、外側は刷毛目を生かすという二つの要素が存在しています。カップに適した技法とオブジェのような装飾、このように実用と装飾を組み合わせた作品もあります。

蓮尾さんの作品は女性らしい色や形をしていますね。

蓮尾:私の器の特徴は、手の中に収まる形です。カップに取っ手があっても、私はつい両手で包むように持つので丸みのある形にしています。内側は天然の釉薬を使っています。木を燃やして灰にして石と混ぜ合わせてつくる灰の釉薬が好きなんです。ふわっとしたやわらかい色が出るんですよ。夫のはシャープで金属質な器が多いので、かえって私のは女性らしく見えるのでしょうね。
色で特徴的なのは淡いピンクや紫。意外と少ない色なんです。この色がなかなか出せなくて。何度か理想の色を出せてはいるのですが、またその色に到達したくていつも挑戦しています。

若狹さんの青い器、色がとてもきれいで目に飛び込んできますね。

若狹:藍香釉というシリーズで、銅で着色しています。この青は江田島の海の色なんです。独立とともに江田島に移住して、この青が出るのに2年かかりました。僕の座右の銘は「行雲流水」で、何事もとらわれることなく、よどみなく進んでいくという意味で、この言葉と島の生活がリンクしてて。焼き物で言えば、ちょっとしたことにこだわるよりもつくってつくって、つくる過程を大切にする。執着しない。そうしてたどり着いた青色でもあります。
蓮尾:私たちは江田島での暮らしがとても気に入っています。気候が良くて住みやすいですよ。
若狹:島の気候や雰囲気、それと余計な情報が入ってこないのもいいですね。陶芸は感覚が大切なので、情報や見聞きしたことが仕事に影響します。ここはフラットな状態で取りかかれるんです。陶芸家がどんどん山奥に入って工房を開き、仙人のようになっていく気持ちがわかります(笑)。島独特の時間の中で仕事ができるのが魅力です。

陶芸
つくりたい、ほしい器をデイトでつくる。
夢中になることで得られる達成感や満足感。
夢中になることで得られる達成感や満足感。
夢中になることで得られる達成感や満足感。

つくりたい、ほしい器をデイトでつくる。

デイトでつくる日常使いの器は、どのようなものになりますか?

若狹:まず型を使ったものと、手捻りのワークショップの二つがあります。型を使うのは豆皿から大皿までサイズや形の異なるもの数種に、ごはん茶碗、カップなど実用的な器を約10種類予定しています。型も釉薬もデイトオリジナルとして一からつくりました。初めて陶芸をされる方は、型を使ったワークショップをおすすめします。手捻りは型を使わないので、オブジェづくりに挑戦したい方にいいと思います。
蓮尾:オリジナルの釉薬は「白」です。いろんな料理にもライフスタイルにもなじみやすく、使いやすい色。もちろん自然素材です。釉薬は、かける濃度や器の厚みによって色に違いが出てきます。一人ひとり微妙に差が出るので、焼き上がるまで仕上がりがわからない。それが陶芸の楽しみのひとつですよ。
若狹:いつもの料理が器によって見え方が変わることもありますし、器が変わることでつくりたい料理も増えると思います。
蓮尾:家族で会話が盛り上がるきっかけになり、食事の時間が豊かになるでしょうね。実際に盛りつけてみると、「もうちょっと大きいサイズがいいな」とか「こうしたら使いやすくなるかな」とかイメージがわいてきて、またつくりたくなる(笑)。ほしい器をデイトでどんどんつくってください!
若狹:器によって食と暮らしがつながる。生活に溶け込むのが器の良さですから。カップの場合、コーヒーや紅茶、緑茶や番茶など何を飲むかで陶器の色が年月とともに変化していきます。使えば使うほど、自分のものになっていく。
蓮尾:マニアックな人はヒビまで愛おしくなって大事に使います。自分でつくるのですから簡単には捨てられませんよね。

夢中になることで得られる達成感や満足感。

なんといってもデイトには、教室のそばに立派な窯があるのが驚きですね。

蓮尾:そうなんです、スタジオに窯がある! 窯を焚くと1200度くらいの熱さになります。ピンと来ないかも知れませんが、この熱さも体感してほしいですね。でも、その前に土の感触を肌で感じてください。季節によってはハッとするくらい冷たくてびっくりしますよ。土の冷たさと窯の熱さ。レッスンによってはこの温度差を身体で知ることになるかも知れません。
若狹:土をさわると癒し効果もあるし、指先を使うから直接脳に働く。だからふだん使わない脳が活性化されます。土を練っている間はみんな集中するのでシーンと静かになるんです。とくに大人は忙しいなかスケジュールをやりくりして、デイトに来て陶芸に没頭する。あっという間に時間が経ち、達成感があり、満足度が高いと思います。
蓮尾:ふだんやらないことに夢中になる時間って、とてもリセットできるんですよ。
そして、おもしろいのが作品に性格が出ること。神経質な人とおおらかな人ではでき上がりが違いますし、夫婦でもまったく違うものができ上がる(笑)。親子が似ていたりする場合もあって。それを見るのも楽しいですね。

最後に、陶芸をやってみたいという人はとても多いので、そんな方にメッセージをお願いします。

蓮尾:はじめからプロのような完成形をめざさないことが大事ですね。陶芸は年月をかけた人ほど上手にできるものなので。プロの作品を見ると、「私はできない」と思うかもしれませんが、人は人。上手くても下手でも関係ない! 私たちがサポートしますので、自分のペースで作品づくりに集中してください。子育てもヨガも陶芸も、地道に続けていたらできるようになる。年月を重ねていくことで上達するものだと思います。
若狹:土にさわるところから始まって、つくればつくるほどおもしろさがわかります。充実感で満たされる時間をいっしょに過ごしたいですね。陶芸はふだんしないことに夢中になれるので、きっと「日常からの解放」になると思います。そして、家では自作の器と料理で、食事の時間を楽しんでくださいね。

PROFILE
若狹祐介・蓮尾寧子

PROFILE

若狹祐介・蓮尾寧子
「10サンジ」主宰/陶芸家

2010年、若狹さんの祖父の家がある江田島に移住。自宅の一部を工房にし、ギャラリーでは展示・販売も行う。年に数回広島をはじめ、山口県や福岡県、関西のギャラリーなどで二人展・個展を開催している。ふたりの作風は異なるが全行程をそれぞれ手作業で行い、日常使いの器から美術作品(オブジェ)まで手がけている。

陶ギャラリー「10サンジ」
江田島市大柿町柿浦2074-1
杉原リョウコ
「空の音」主催
サトルボディ・スタイリスト
杉原リョウコ
若狹祐介
陶ギャラリー「10サンジ」主催
陶芸家
若狹祐介・蓮尾寧子
原田美貴
「SHAMROCK」店主
フラワーアーティスト
原田美貴
藤原丈士
「むしやしない」店主
料理家
藤原丈士
ヨガ・ワークショップ一覧